仙台高等裁判所 昭和53年(行コ)3号 判決 1979年5月07日
東京都千代田区麹町二丁目一〇番六号ロイヤルハイツ二階B
控訴人
織田和子
(旧姓
松尾)
右訴訟代理人弁護士
桑田勝利
被控訴人
福島税務署長
菊地和夫
右訴訟代理人弁護士
伊藤俊郎
右指定代理人
松川輝雄
同
千葉嘉昭
同
山田昇
同
鈴木徹
同
小林茂
右当事者間の贈与税決定及び無申告加算税賦課決定取消請求控訴事件について当裁判所は昭和五四年二月二八日終結した口頭弁論にもとづいて次のとおり判決する。
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴代理人は「原判決を取り消す。被控訴人が控訴人に対し昭和四四年四月一八日付で行なった昭和四三年分贈与税及び無申告加算税の各賦課決定を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は「控訴棄却」の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張は左記に付加するほか原判決の事実摘示のとおりであるからこれを引用する(ただし原判決二枚目裏九行目に「昭和四〇年一一月四日」とあるのを「昭和四〇年一二月二五日」と訂正する)。
(控訴代理人の主張)
一 控訴人が昭和四〇年一二月二五日訴外株式会社七十七銀行福島支店から借り受けた金二、〇〇〇万円の債務(以下本件貸金債務という)が、昭和四三年三月一二日、控訴人の実父織田大蔵によって、同人の株式会社東邦銀行に対する定期預金三、〇〇〇万円の解約払戻金のなかから弁済されたのであるが、右の弁済に要した金二、〇〇〇万円(本件金員という)は大蔵から控訴人に贈与されたものではなく、大蔵が後日控訴人から返還を受ける約定で控訴人の本件貸金債務を立替払したに過ぎない。すなわち、控訴人が昭和二九年三月八日松尾秀二と結婚した際、大蔵は控訴人に持参金として贈与することを約束した金員を控訴人には交付せず、大蔵自身がこれを保管して、その金員で控訴人名義の不動産を取得し、あるいは転売して利益を得るなど、控訴人のためにその資産を管理運営していた。そして大蔵は、右管理運営の一環として、昭和四〇年九月頃から別紙物件目録記載の各不動産を控訴人名義で取得し、あるいは売却するなどの取引を行なったが、これを控訴人の計算において明らかにすると、別紙取引一覧表記載のとおりとなる。すなわち控訴人は昭和四〇年九月から昭和四五年六月二四日まで本件貸金債務の弁済を含め大蔵から総額金六、八〇八万二、五〇五円の立替払を受けたが、不動産の売却代金や七十七銀行からの借入金で逐次弁済し、同日現在の残高は金一、一九〇万八、五九九円である。しかも、そのなかには、大蔵が昭和四四年二月二八日七十七銀行に対する控訴人の借入金七〇〇万円を弁済した分と、大蔵が別紙目録記載一六ないし一八の不動産を金一、五〇〇万円で取得し、これを金一、〇七〇万円で売却した差損金四三〇万円が含まれているから、それ以前の立替金に対する残額は金六〇万八、五九九円に過ぎない。したがって右金額を本件貸金債務の立替払分に対する残額とみても、金二、〇〇〇万円のうち金一、九三九万一、四〇一円は弁済されていることになる。
二 なお右取引一覧表によって明らかなように、大蔵は本件貸金債務を立替払した当時、控訴人所有の別紙目録三、四、一一ないし一四記載の各不動産を売却した代金三、一一三万六、〇〇〇円を自ら保管していたのであるから、右金員のなかから本件貸金債務を立替払した分の返却を受けることは容易に可能であった。この点からしても本件金員は大蔵から控訴人に贈与されたものでないことが明らかである。
三 大蔵は昭和四四年一一月遺言書を作成しているが、それによると同人の三男織田鉄蔵に全ての資産を与えることとし、控訴人を含む娘三人に平等に遺産から金五〇〇万円を与えることを表示しているに過ぎず、控訴人のみに特別な愛情を持っていた訳ではないから、本件金員を贈与するようなことはあり得ない。現に本件金員については贈与契約も締結されておらず、控訴人または大蔵が被控訴人に対して本件金員が贈与である旨を説明したこともまったくない。
四 それのみならず、大蔵は昭和四六年一月頃本件金員のうち未弁済の金五五四万〇、七二四円のほか、昭和四四年三月二八日金六六五万二、二三四円、昭和四五年六月二六日金三〇〇万円を控訴人に貸し付けたとして控訴人を相手取り貸金請求訴訟(福島地方裁判所昭和四六年(ワ)第二三号貸金請求事件)を提起して勝訴判決を受け、右判決を債務名義として控訴人の有体動産に強制執行をした。また大蔵は昭和四七年六月一二日には別紙目録ないし八、、一五および一九の各不動産は大蔵の所有であることを主張して控訴人に対し右各不動産について譲渡、質権、抵当権、賃借権の設定その他一切の処分を禁止する旨の仮処分決定を得た(昭和四七年(ヨ)第六一号仮処分申請事件)。右のような態度からしても大蔵が本件貸金債務の立替払をしたことにもとづく求償権を放棄するようなことはあり得なかったことが明らかである。したがって控訴人が大蔵の求償権の放棄により立替払をした金員と同額の財産上の利益を得たということもない。
五 かりに本件貸金債務の弁済が贈与であるとするならば、大蔵は自己の金員を控訴人の代理人として贈与を受け、控訴人の債務を弁済したことになるから、民法第一〇八条の規定に違反し、右贈与契約は無効である。そして控訴人は大蔵からの受贈を追認したことはない。したがって本件賦課処分は民法上無効な贈与を有効なものとしてした違法があり、取り消されるべきである。
(被控訴代理人の主張)
一 別紙取引一覧表記載の不動産取引のうち、控訴人が昭和四二年一一月一〇日別紙目録一一ないし一四の土地を福島電鉄株式会社から無償取得したこと、同年一〇月三一日右土地と別紙目録三、四の不動産を合計金三、一一三万六、六〇〇円で売却したこと、控訴人が昭和四三年頃別紙目録一六、一七の土地を金一、五〇〇万円で取得したこと、その頃、別紙目録一、二の各不動産を金三、七〇〇万円で、また同目録七の建物を金三〇〇万円で売却したこと、控訴人が昭和四四年六月一七日同目録一六、一七の土地を金一、〇七〇万円で売却したこと、昭和四五年六月八日頃同目録五の土地および八の土地の一部を金三〇〇万九、二七六円で売却したことは認めるが、その余の取引は知らない。また、右取引において大蔵が立替金を拠出したことや立替払の計算は争う。控訴人の計算は推定または推測にもとづくもので根拠のないものである。
二 大蔵は福島地方における屈指の資産家であり、福島交通株式会社の代表者として長年同社の業務を統轄していた。そのかたわら控訴人の資産も管理し、その結果として控訴人に対し別紙目録五、六の土地を取得させ、同所に同目録一五の病院の建物を取得させせたものであって、控訴人が相当額にのぼる不動産を取得し得たのは大蔵の控訴人に対する一方ならぬ愛情があったからにほかならない。本件金員の贈与も親子間における自然の愛情にもとづくものとみるべきである。
三 控訴人は、控訴人名義の財産の処分等によって得た資金の移動をもって大蔵の立替金を返済したと主張するが、右の立替金については利息および期限の定めがないのであるから特に急いで返済する必要がないのにもかかわらず、本件課税処分が行なわれた直後から返済が行われていること、控訴人が昭和四五年六月二四日大蔵に金三〇〇万九、二七六円を返済したと主張しながら、その二日後の同月二六日には大蔵から控訴人に三〇〇万円が返還されていることからして、大蔵に対する返済と主張する金銭の動きは、贈与税を免れるための作為に過ぎない。また大蔵が提起した控訴人主張の貸金請求訴訟も、大蔵と控訴人が親密な関係にあったことと、右訴訟提起の時期が本件課税処分の直後であり、しかも特別に訴訟提起の必要もなかったこと、及び右訴訟においては控訴人は口頭弁論期日に出席せず応訴活動をしていないことなどからして右訴訟は税務対策上提起されたことは疑いを入れる余地がない。
四 大蔵が控訴人のために本件貸金債務を弁済した行為は、本人のために有利な行為であるから民法第一〇八条の自己契約にあたらないし、利益相反の行為にもあたらない。そして現実に控訴人が利益を得て課税対象事実が発生している限り、これに対して課税をなし得ることは当然である。
(証拠)
訴訟代理人は、甲第一五ないし第一七号証、第一八号証の一ないし五、第一九号証の一ないし八(第一九号証の二は写で)、第二〇ないし第二三号証、第二四号証の一、二、第二五号証の一ないし三、第二六、第二七号証の各一、二、第二八号証、第二九号証の一、二、第三〇号証の一ないし三、第三一ないし第三四号証の各一、二、第三五号証の一ないし三、第三六号証、第三七号証の一ないし三、第三八ないし第四一号証(第三八号証は写で)を提出し、当審における控訴本人尋問の結果を援用し、乙第一四号証の成立を認めた。
被控訴代理人は、乙第一四号証を提出し、前記甲号証中、甲第一八号証の三ないし五、第一九号証の一、三ないし五、七、八、第二一号証、第三五号証の一ないし三、第三七号証の一ないし三、第三九号証の各成立は不知、その余の甲号各証の成立(第一九号証の二、第三八号証については原本の存在とも)は認めると述べた。
理由
一 被控訴人が控訴人に対し昭和四四年四月一八日付で、控訴人が昭和四三年中に取得した財産価額が金二、〇〇〇万円であるとして、これにつき贈与税額金一、〇四九万五、〇〇〇円、無申告加算税一〇四万九、五〇〇円とする贈与税および無申告加算税の賦課決定(本件処分)をしたことは当事者間に争いがない。
二 控訴人は昭和四〇年一二月二五日株式会社七十七銀行(福島支店)から金二、〇〇〇万円(本件貸金債務)を借り受けていたが、控訴人の実父織田大蔵が同人の株式会社東邦銀行に対する定期預金三、〇〇〇万円の解約払戻金三、〇〇〇万円をもって昭和四三年三月一二日本件貸金債務を弁済したことは当事者間に争がないところ、被控訴人は織田大蔵のなした本件貸金債務の弁済は織田大蔵から控訴人に対する贈与に該ると主張し、控訴人はこれを争い、本件貸金債務の弁済は織田大蔵が後日控訴人から返還を受ける約定で控訴人のため立替払したもので、織田大蔵から控訴人に対し貸与されたものである旨抗争するを以て、以下この点について判断する。
原本の存在ならびにその成立に争いのない乙第七号証、第八号証の二、三、成立に争いのない甲第一号証、乙第五号証、第六号証の一ないし四、第八号証の一、第一二、第一三号証の各一、二、証人千葉普の証言により成立を認め得る乙第一ないし第四号証の各記載、原審証人管野宏二、丸川洋司、織田鉄蔵、渡辺実、千葉普の各証言、原審および当審における控訴本人尋問の結果(いずれも後記措信しない部分を除く)を綜合すると次の事実を認めるに足る。
昭和四三年当時、織田大蔵は福島交通株式会社、太陽商事株式会社の経営を行い、福島地方における屈指の資産家であったところ、控訴人の資産を管理運用し、その蓄財に努めていた(この事実は当事者間に争いがない)。控訴人は大蔵の二女で、昭和四三年中の給与所得は福島電鉄通運株式会社ほか一ケ所から金一五〇万円、同年中の不動産収入はナニワ商事ほか二ケ所から金一八四万二、〇〇〇円程度であった。ところが控訴人は昭和四三年中に約七、〇〇〇万円相当の不動産を取得したほか、本件貸金債務も弁済されているので、仙台国税局資産税課主査である千葉普らがその資金の出所について調査をしたところ、不動産の取得資金については、ほぼ同額の不動産を処分した代金があることが判明したが、本件貸金債務の弁済資金については、その出所が不明であったので、昭和四四年一月二八日、控訴人に面会のうえ調査したところ、控訴人は、税金のことは織田大蔵にまかせてあり、また経理の点は太陽商事株式会社常務取締役管野宏二等に聞いて貰いたい旨述べた。そこで千葉普らは管野宏二について調査したところ、同人は本件貸金債務の弁済資金は、福島電鉄通運株式会社代表取締役八巻二良からの借入金である旨回答した。しかし、八巻二良は同月二九日の国税局係官の調査に対して金二、〇〇〇万円の貸付は認めたが、その金員の出所は大蔵との関係があるので答弁できない旨答えた。しかるところ、大蔵は、同月三一日の国税局係官の調査にあたって、本件貸金債務の弁済資金は八巻二良が出捐したものではなく、大蔵が昭和三七、八年頃の一月一九日に控訴人に金二、五〇〇万円を贈与し、控訴人において金庫に保管していたものを充当したもので、贈与税の対象としては時効にかかっていると答え、本件貸金債務の弁済資金は大蔵が控訴人に対する貸金または立替金として出捐したもので後日控訴人から返還を受けるべき性質のものであるという説明は全くしなかった。そこで被控訴人は、関係者の相互に矛盾した不自然な供述と、大蔵と控訴人の身分関係からして本件貸金債務の弁済の時点で大蔵から控訴人に対し右弁済資金相当額の贈与があったものと認定し、本件処分をした。その後、本件処分に対する異議申立の段階で、本件貸金債務二、〇〇〇万円の弁済資金は大蔵の株式会社東邦銀行に対する定期預金三、〇〇〇万円の解約払戻金をもってあてられていたことが判明した。しかし本件処分に対する審査請求の段階にいたって、大蔵は前掲供述を飜えし、昭和四四年九月二五日の国税局係官の調査に対しては、昭和三七、八年頃の贈与を否定し、本件金二、〇〇〇万円は、昭和四三年三月一二日に控訴人に対し、控訴人の夫の経営する病院の経営が軌道にのれば返還して貰う条件で借用証も作らず、利息も定めず貸し付けたものであると説明し、控訴人も同趣旨の説明をするようになった。大蔵は、その後昭和四六年一月頃控訴人を相手どり、控訴人に対し昭和四三年三月一二日貸し付の金二、〇〇〇万円の残金五五四万〇、七二四円のほか、昭和四四年三月二八日に貸し付けた金六六五万二、二三四円、昭和四五年六月二六日に貸し付けた金三〇〇万円、以上合計金一、五一九万二、九五八円の貸金債権があるとして右貸金請求の訴訟(福島地方裁判所昭和四六年(ワ)第二三号)を提起した。しかも控訴人は、大蔵の訴訟代理人である弁護士から自己の依頼した弁護士を介して、右訴訟は税金対策上のみせかけの訴訟である旨の説明を受けたので、右訴訟の口頭弁論期日に出頭せず、欠席判決を受けることにした。その結果、大蔵は右訴訟事件につき昭和四六年二月二五日全部勝訴の欠席判決を得たが、控訴人は大蔵から右判決に基づく強制執行はしない旨の確約を得ていたため控訴しなかった。
右の認定事実によれば、織田大蔵は昭和四三年三月一二日本件貸金債務二、〇〇〇万円を控訴人に代って弁済することにより控訴人に対し金二、〇〇〇万円を贈与したものと認めるのが相当である。
もっとも、前記甲第一号証には、大蔵は昭和四三年三月一二日控訴人に対し金二、〇〇〇万円を貸与し、控訴人は昭和四五年六月二四日までに七回に亘り合計金一、四四五万九、二七六円を弁済した旨の記載が存し、成立に争のない甲第二号証の一ないし三、第三号証の一ないし四、第四号証の一、二、原審証人渡辺実の証言により成立を認め得る甲第八ないし第一三号証の各記載によれば、控訴人の七十七銀行に対する普通預金通帳には、昭和四四年一二月一五日、昭和四五年一月一七日、同年三月三一日に各金二五万円が、同年六月二四日金三〇〇万九、二七六円がそれぞれ払い戻された旨の記載があり、他方、大蔵の同銀行に対する普通預金通帳には右払戻に照応する年月日にそれぞれ同額の金員の預入がなされている旨の記載があること、大蔵は控訴人に対し昭和四四年六月一七日付金二〇〇万円、同月三〇日付金六〇〇万円、同年一二月一五日付金二五万円、昭和四五年一月七日付金二五万円、同年三月三一日付金二五万円、同年六月四日付金二七〇万円の各領収証を交付していることが認められるけれども、甲第一号証中の前記記載部分は前掲乙第一三号証の一、二の各記載に照して大蔵が昭和四三年三月一二日控訴人に対し金二、〇〇〇万円を貸与した事実の存在を肯認せしめるの資料としては採用しがたく、その余の前掲甲号各証は、いずれもが本件処分後におけるものであることと、前記乙第一三号証の一、二の各記載、前段認定の事実とに照して前段認定を覆えすに足る資料としては採用できない。また、当審における控訴本人尋問の結果により成立を認め得る甲第三九号証には、控訴人が昭和四三年三月一二日大蔵から金三、九九八万一、一一〇円を借受け同日七十七銀行に金二、〇〇〇万円を返済した旨の記載があるが、右記載部分も前段認定の事実に照して措信しがたく、原審証人管野宏二、丸川洋司、織田鉄蔵、渡辺実の各証言ならびに原審および当審における控訴本人尋問の結果中右認定に抵触する部分も採用できず、その他に前段認定を覆えすに足る証拠は存しない。
三 控訴人は本件金員の贈与は民法第一〇八条に違反して無効であると主張する。しかし大蔵は控訴人の七十七銀行に対する本件貸金債務二、〇〇〇万円を控訴人に代って弁済したものであることは既に認定したとおりであるから、民法第一〇八条の問題を生じる余地はない。仮りに控訴人主張の如く、贈与者である大蔵が控訴人の代理人として本件金二、〇〇〇万円の贈与を受け、本件金二、〇〇〇万円をもって控訴人の本件貸金債務を弁済したとしても、右贈与が受贈者たる控訴人に対して何らかの義務を負担させる負担付のものであったことを認めるに足る証拠はないから、これを無効とすべきいわれはない。したがって控訴人の右主張は到底採用できない。
四 以上の次第で、昭和四三年三月一二日控訴人は大蔵から本件金二、〇〇〇万円の贈与を受けたものというべきであるから、これを基礎として相続税法(昭和四五年法律第一三号による改正前)第二一条の四、同条の六により相続税額を算出すると金一、〇四九万五、〇〇〇円となり、国税通則法(昭和四五年法律第八号改正前)第六六条により無申告加算税を算出すると金一〇四万九、五〇〇円となることが明らかであるから、被控訴人のした本件処分は適法である。
五 してみると本件処分の取消を求める控訴人の請求は理由がなく失当として棄却すべきである。右と同趣旨にでた原判決は正当であって本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 兼築義春 裁判官 田口祐三 裁判官守屋克彦は転補されたため署名押印できない。裁判長裁判官 兼築義春)
物件目録
一 福島市上町五〇番一
宅地 五〇、二二坪
二 右同所同番及び四九番所在
木造亜鉛メッキ鋼板茸二階建店舗
一階 四三一・四七平方米、 二階 二九九・〇四平方米
(専有部分)
家屋番号一〇〇番 建物番号北側
一階 一三九・九三平方米、 二階 一三九・九三平方米
三 同市高野河原下七番一
宅地 一〇二、六〇坪
四 右同所所在
家屋番号一番二
木造亜鉛メッキ鋼板茸二階建居宅
一階 六〇・七五坪、 二階 六〇・七五坪
五 福島市北五老内町五〇番一
宅地 二一三・九二坪
六 同所五〇番五
宅地 七二・六五坪
七 同市北五老内町五〇番地
家屋番号同町三番
木造亜鉛メッキ鋼板茸瓦茸二階建居宅
一階 六七・一一坪、 二階 一一・二五坪
八 同市北五老内町五〇番四
宅地 二五九・一七平方米
九 同所五〇番
家屋番号六九
木造瓦茸平家建居宅 一〇九・〇九平方米
一〇 同所同番
家屋番号七〇
コンクリート造瓦葺二階建倉庫
一階 一三坪、 二階 一〇坪
一一 同市上浜町三五番
宅地 二四九・二五平方米
一二 同町三六番一
宅地 九九一・七三平方米
一三 同町三六番二
宅地 九八一・八一平方米
一四 同町五六番
宅地 七五一・二三平方米
一五 同市北五老内町五〇番地四、五〇番地一
家屋番号五〇番四
鉄筋コンクリート造三階建病院
一階 二四五・一八平方米、 二階 二五九・五八平方米、 三階 二五九・五八平方米
一六 仙台市角五郎二丁目四四番四
宅地 五七・七五平方米
一七 同所四五番一四
宅地 一九五・二三平方米
一八 同所同番地所在
木造亜鉛メッキ鋼板茸二階建居宅
一五五・〇四平方米
一九 福島市北五老内町五〇番地
家屋番号七番
木造瓦茸及亜鉛メッキ鋼板葺二階建居宅
一階 一〇一・六五平方米、 二階 四〇・四九平方米
附属建物 物 置
木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建
三・三〇平方米
別表 取引一覧表
<省略>
<省略>
大蔵の立替総額 六八、〇八二、五〇五円
返済総額 五六、一七三、九〇六円
残額 一一、九〇八、五九九円